Okuru river(オクルーリバー)
ラストフロンティアOkuru River 02年1月20〜22日


 
   
 カポッっとライズをした瞬間 見えるかな?(写真中央部)

「人里離れた川は、美しく澄んだ水が流れ、
そこには最も大型で、コンディションの良い魚のみが生き残る。
残された秘境,ラストフロンティアOkuru River。」
ガイドブックにはこう書かれていた。

「そりゃどこだよ!」と簡単に釣られてしまったのは私だった。
地図をにらむ。下流はだらだらと流れているようだけど、
3、4時間も歩けば谷が狭まり、なかなか良さそうな流れが読み取れた。
「ふーん、大きなヤツがいるのはここかぁ、シメシメ」。
相変わらず、行く前から釣った気でいる私。
この先どんな苦労が待ているかも知らずに、地図の釣りを楽しんでいる。

Haastのビジターセンタで、Okuru Riverの地主の住所と電話番号を聞く。
許可をとって川へ向かった。
Nolan roadの終わりに車をとめ、トレッキングコースを探して歩く。
地図上には4WDの道が上流へとついているのに、実際はウシの通り道でしかない。
見上げるほどのお化けシダ。緑の天井となって覆いかぶさるブッシュ。
その透き間からさす光りは、スポットライトのよう地面に茂るシダを照らし、
見上げると小さな青空が見える。
どこからかバナナのような不思議な香りが漂ってくる、
こんな森から、想像できるのはマスの棲む澄んだ川ではなく、
いつか写真で見た茶色く濁ったアマゾン川だった。
森を抜けると、音を立てずにゆったりと流れるOkuru Riverが現われた。
波立たない水面のせいで、川底がくっきりと見える。
その透明度のせいでそこがどれだけ深いのか、感覚すら麻痺させるほどだった。
手に持った石を、川に投げ込んでみた。
細かい泡を引っぱりながら6秒ほどたって見えなくなった。

川に沿って続く道を、上流に向かって歩いていると、丸見えの魚が目に入ってきた。
「でけぇよ」。
魚に気づかれないように、うつ伏せでのぞきこむ。
1mほどの深さに、ぽっかりと浮かんで左右に動いては、パクリとやる。
「もしこの魚が釣れたら、帰ろうぜ」。
そこまでデカイ魚に、体はプレッシャーでカチコチになった。
魚の下流に忍び寄り、魚の動きを観察する。
のんびりと泳ぎ回る魚と、複雑な流れが邪魔をする。
覚悟を決めて投げたフライは見事に水面をたたき、
シナリオ通りに、魚は深く潜って固まってしまった。
固まった魚に無理なのはわかっているものの、
ネバネバとフライを投げてみたけど、むなしく惨めになる私だった。

  
        こんな何の変哲も無い流れでゆったりと餌とりをしている。
        だけど流れは超複雑。 一投で全てが決まる

昼をすぎた強烈な太陽と、歩きくたびれた体に汗が流れ、
目の前に現われた、ボイルプールに頭から飛び込んで、しばしひんやり。
昼食をとり、さらに森を歩き、川を渡り、川岸の平らな場所を見つけてテントを張った。
場所を選ばないと渡れないほどに、川まだまだはでかい。

   
          ボイルプールでクールダウン

Okuru Riverの釣り

Okuru Riverは、大きな岩が続く荒い流れがあったり、
落差のないゆったりと流れる場所があったりと、かなり変化に富んでいる。
そして水の色は、下流でみたそれと変わらず、ため息が出るほどに美しい。
テントを張った場所の上下10kmほどを、2日かけて釣ってみた。
結果から書くと、ラストフロンティアと賞賛されるOkuru Riverでの釣りは、
惨めなほどに、釣れなかった。
「よく来たね」と、慰めるかのように、
60cmのブラウントラウトが1尾釣れたものの、それだけだった。

2泊3日の食料もって、ひらすら山奥まで歩いて、
やっとの思いでたどり着いたOkuru River。
そこには、まだまだでかい川が流れていた。
テントよりも下流の流れは、大きすぎる岩に釣りは困難。
魚はいるものの、フライが投げれないほどのブッシュ。
そして、テントから上流は落差のないゆったりとした流れ、
どこでもフライを投げる流れなのに、今度は魚が見当たらない。
歩いて歩いて疲れ果てて、河原に寝そべり空を見上げた。
雲ひとつない、青空が私を包みこむように広がる。
足先から川の冷たさが伝わってくる。さわやさな風が肌にふれる。
川が流れ、鳥が鳴き、草が揺れ、虫が飛ぶ。ごくあたりまえにある音なのに、
気づかない自分。音があるのに、静かな世界。
「なんでこんな夢中に釣りをしているんだ。魚が釣れたからってなんだ、
こんな山奥で最高の贅沢なんて…」、
と頭の中をいろいろな思いが流れて行くうちに、いつしかふわふわと夢の中を漂っていた。
1時間ほど眠ってしまっただろうか、気持ちのよい目覚めとともに、
Okuru Riverに礼を言った。

「人里離れた川は、美しく澄んだ水が流れ、そこには最も大型で、
コンディションの良い魚のみが生き残る。
残された秘境,ラストフロンティアOkuru River。」

夢を追って、山奥まで歩いた。そこで見たのは、どこにもない最高の夢だった。
ラストフロンティアOkuru Riverだった。
山奥楽し、いざ歩け。

02年1月3日 Thomas River より

  
       水はいいけどまだまだデカイOkuru river



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